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「また始まった」
「や〜ね〜」
部員たちが気持ち悪そうにヒソヒソと話し始めた。
「部長……」
「うん、聞こえた。何だこの声は」
霊視しても何も視えない。これは一体何なんだろう。
「部長は何か分かりますか?」
「う〜ん……」
体育館内を見回した。部員たちはもう後片付けを終え更衣室へ向かっていた。
「あ、あれ」
部長が上の方を指差した。2階の窓のカーテンが自動で閉められていた。
「あ、そうか」
手の届かない高い所のカーテンは自動で閉められる。とするとモーターが何処かにあるはずだ。それが静かになった体育館の床下に響いて人の唸り声に聞こえると言う訳だ。
「アッサリ解決ですね」
「まあそんなもんだよ。心霊相談の99%は霊に関係ないものだよ」
「そうなんですか」
「そんなもんさ」
部長はバレー部の部長の所へ行き概要を説明した。部長がカーテンの自動開閉機のスイッチをオフにしてみたところ床下からの音は鳴り止んだ。
清々しく、ちょっと得意げに微笑む部長の顔が眩しく見えた。
そうして私のオカルト研究部としての初仕事は終了した。
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