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「真弓さん、放課後私と一緒に来てね」
「え? 何で」
「何か真弓さんは私の言う事を聞いてくれるような気がするんだけど」
「……え〜」
「じゃ、放課後」
そして私は放課後、渋っている真弓由美を連れ部室へ向かった。
「おはようございます。新入部員連れてきました」
「お〜、栗本さん、ありがとう!」
「え〜〜!!」
有無を言わさず真弓由美を入部させた。部長は喜んで硯を取り出すと半紙に『由美』と書いた。
「うわ……上手。美しいって字がバランス難しくて上手く書けないのよね。こんな美しい『美』って文字初めて見た」
部長の美文字に感動している真弓由美に部長が笑顔で筆と半紙を差し出した。部長の端正な笑顔には逆らえず真弓由美も入部届を書いた。真弓由美も中々字が下手だったが、部長は額に入れ私の入部届の隣に飾った。
「真弓由美さん、今日からよろしくね。じゃあ早速……」
こりもせず部長はまた”巫女様”をやるために半紙に平仮名を書き始めた。
何はともあれ部員が増えた事は喜ばしい。仕方なく私も巫女様に参加した。
勿論十円玉は私が動かすが。
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