ピアノ弾くモノ

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「なんと! 深夜の音楽室に子犬のワルツが鳴り響いています。あの噂は本当だったのです! いや〜ん、怖い〜」  真弓由美は部長に抱き付いた。 「これはどういう事なんでしょうか? オカルト研究部部長に話を伺います。部長、お願いします」 「いやぁ……。驚きましたねぇ」  部長は突然の怪奇現象と真弓由美に抱き付かれた事に戸惑いの色を隠せない。 「ここはサーモグラフィで確認した方が良いでしょう。カメラさん、どうですか?」  生半可な霊感の持ち主には原因は分からない。カメラさんに話を振った。 「ピアノの前に何かいるようです! サーモグラフィが反応しています! これを見て下さい!」  カメラさんも恐怖でハイテンションになっていた。サーモカメラの映像にはピアノの前に何らかの生物がいるかのように温度を感知している様子が映し出されている。 「ピアノの前には誰もいません! なのにカメラは体温を感知しています!」 「ちょっと待ってください。頭部に……耳の様なものがあります!」 「部長、正体は何ですか!?」  真弓由美とカメラさんは興奮状態で部長に詰め寄った。  困った部長はしばし考え込み、そしてこう言った。 「これは化け猫ですね。以前人間に踏まれてしまった事を恨んでいて、猫踏んじゃったの曲に嫌悪感をおぼえ子犬のワルツで対抗しているのです!」
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