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「ま、マジ!?」
幽霊を信じていないと言い切っていた真弓由美もさすがに恐怖をおぼえたのか、私の後ろに一瞬で隠れた。そして私の制服をきつく握りしめ、小刻みに震えていた。
個室は3つ並んでおり、音がしたのは真ん中の個室だった。
「見てみようか」
「え! 嘘でしょ! 見るなら1人で見てよ、私外に出る!」
真弓由美はトイレから出ようとした。しかしドアが開かなかった。
「ちょっとー! 何押さえてるのよ! 出しなさいよ! ちょっとー!!」
ドアをガンガン叩くが外の男たちは開けようとする様子が無い。
「何アイツら、嫌がらせ? イジメよ! セクハラよ〜!」
あんたも中学時代に似たような事してたでしょ、と言いたかった。
「取材終わるまで出てくるなって事なのかな。じゃあやるしか無いね」
「ヤダ〜」
「でも出られないよ」
「訴えてやる」
「え?」
「うちのお父さんは検事でお母さんは弁護士」
「ほ〜、素晴らしい家庭ですなあ」
「だから私も将来は法律家になるのよ」
「ほ〜……りつ家ですか〜」
私の冗談で真弓由美も少しは落ち着きを取り戻したようだ。全く世話の焼けるお嬢様だ。
ジャーーー
「ヒーー!!」
せっかく落ち着いた真弓由美も再びの流水音に驚き腰を抜かしてしまった。余計な事をするやつだ。
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