オカ研入部

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 私はカミングアウトしない。どうしてかと言うと、今までカミングアウトして嫌な思いしかしてこなかったからだ。  小さい頃オバケがいると言ったら嘘つきと言われた。気味悪がられた。そのうちオーラを視てとか前世を視てとか言われ、自分が嘘つきでは無い事を証明するために視てあげた。しかし「前世は農民だった」などと言うとやはり嘘つきと言われた。 「有名な占い師さんに視てもらったらヨーロッパの貴族のお姫様だって言われてるのよ。やっぱり愛ちゃんは嘘つきだ」  みんながみんなお姫様な訳無い。その占い師の方が嘘つきなのに、自分の望む答えを出さない方が嘘つきだと決め付ける。  もう勝手にしろと、私は口を閉ざした。それからは家族以外の人とは心霊話はしない事に決めた。まあ家族とは当たり前のように話が出来るので、それだけが救いだった。 「栗本さんは霊感は無いんですか?」 「はい」 「そうですか」  明らかに部長はガッカリしていた。もしかしたらオカルト部の名前に釣られて優秀な霊能力者が入って来てくれて、自分に憑いている霊を祓ってもらおうと思っていたのかも知れない。 「うん、まあ霊感無くても大丈夫ですよ。これから訓練すれば力が付きますから。一緒に頑張りましょう!」  そう言うと部長はまた半紙に筆を走らせ始めた。 「まずは1番ポプュラーな降霊術をしましょう」  部長は半紙に平仮名で五十音を書き、鳥居の記号とその両脇に「はい」と「いいえ」を書いた。  これは素人がやってはいけないヤツではないか。こんな事をやっているから色々なモノに取り憑かれてしまうのだ。
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