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「え〜、怖いです」
一応怖いふりをしてみたが部長はやる気満々だった。
「大丈夫だよ。悪いモノが寄ってこないように御札を貼ってあるから」
壁に貼られた御札はそう言う事なのかと納得した。しかし壁の御札は「家内安全」や「合格祈願」、それにまさかの「安産祈願」のものだった。知らないとは恐ろしい。
「さ、指を乗せて」
部長は十円玉を鳥居に置いた。仕方無い。付き合ってあげる事にした。
「巫女様、巫女様。おいでになりましたら『はい』の方へ動いて下さい……」
すぐに十円玉は動いた。そう、私が動かしたのだ。
「僕には悪霊が憑いてますか?」
再び十円玉は動いた。しかし今度は『いいえ』の方だ。そう、私が動かした。
部長に憑いている子どもの霊は、別に悪霊では無い。どちらかと言うと福の神、所謂座敷わらしだ。せっかく憑いてくれているのに悪霊とは失礼だ。本当の事を教えてあげないと座敷わらしさんが可哀想だ。
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