オカ研入部

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オカ研入部

 怒涛の受験勉強を制し、晴れて高校生になった私は”部活動”というものに入ろうと思った。  中学時代は勉強のため、部活動なんてしてこなかった。内申書なんてクソ喰らえ! の勢いで勉強のみで過ごした。  他のみんなはスポーツだ音楽だと勉強と関係の無いものに熱中していた。友情だ異性だと、学業に悪影響を与えるものにばかり浮かれていた。  そしてその結果を見よ! 誰が勝者か一目瞭然。そう、私が勝者、アイアムアチャンピオン!   なのに、何か物足りない。普通の高校に行った同級生たちの方が楽しそうで幸せそうだった。せっかく超難関の進学校に入学出来たのに、何故か満たされない。  ここはやはり年相応の行動をすべきかと、部活動に入ろうと決意した。  新入生には部活動一覧のプリントが配られ、入りたい部活名に丸を付けて担任に提出するようになっていた。  科学実験部、ロボット製作部、英語部、文学部。中々個性的な部活動があるけれど、いまいちピンと来なかった。スポーツや音楽はやって来なかったので今更やろうとも思わない。  何か無いかと見ていると、 「え?」  一覧の1番下に『オカルト研究部』とあった。  オカルト……。もしかしたら私にピッタリかも知れない。何故なら私には霊感がある。私だけで無く家族全員ある。なのでそれを普通として過ごして来た。  どんな研究をしているのかも興味がある。ならば私から霊感を無くしてもらいたい。ほぼ毎晩金縛りになるわ、夜中に話し声は聞こえるわで安眠を妨げられる。    道を歩いていても事故に遭ったそのままの姿で血まみれのモノたちがウヨウヨしている。慣れてはいるが、あまり気持ちの良いものでは無い。  そうだ、霊感を無くす研究をしよう。  私は『オカルト研究部』に○をしてプリントを提出した。
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