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女子トイレの女子
次のロケ現場は3階の女子トイレだった。
誰も入っていないのに鍵が掛かっていたり、水が流れたりする音を何人かの女生徒が聞いている。
何年か前にイジメられトイレに閉じ込められたりされ、ついには心を病み、亡くなってしまった女生徒の幽霊ではないかと噂されている。
ここはヤラセでは無いらしい。
「え〜、夜中のトイレは嫌ですぅ」
さすがの真弓由美も怖気づいているらしい。
「そんな事言わないで、さ、入った入った」
放送部部長に無理矢理トイレに押し込まれる。
「え……ここ女子トイレですが、入るんですか?」
部長2人とカメラさんは男子である。いくら収録だからと言っても女子トイレに入るなんて許されて良いのだろうか?
「じゃあ君、カメラ渡すから撮って来て」
「え」
男子たちは無理矢理カメラを押し付け女子2人をトイレに押し込んだ。あいつら、実は怖くて入りたく無かったのだろう。情けない男たちだ。
「え〜、栗本と2人? つまんな〜い」
さっき怖がっていたのは男子向けだったのか? やはり真弓由美は根性が座っている。
それはそうと、私にカメラを渡すとは放送部も怖いもの知らずだ。私はメカには恐ろしく疎い。疎いどころか触っただけで壊した機械も数あまた。
精密機械は霊に反応する。私が触れた途端誤作動を起こしたりショートする。我ながら厄介な体質である。
そして早速始まった。
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