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リーネは一瞬『キョトン』としたが、すぐににっこり笑って、言葉を紡いだ。
「まあ、お嬢様ったら。ふふふ、今日はお嬢様の五歳のお誕生日ですものね。お嬢様のお好きなものばかりですよ。」
ふむ、やはり五歳か。お誕生日………家族に祝ってもらうの、久しぶりだ。施設にいた頃はみんなが祝ってくれたし、手作りのプレゼントを貰い、先生達が私の好物ばかりを作ってくれた。
豪華ではなかったけれど『不要な子』と言う烙印を押された私の心を束の間でも癒してくれた。
-さしあたって必要なのは、現状把握だろう。色々とさりげなく、リーネからのリサーチ開始。
リーネの話によると、私………つまり、ティアラはセレスティア伯爵家の長女であるが、二歳上の兄『レオナード=セレスティア』がいて、爵位を継ぐのは、その兄であるらしい。
当然、私はお嫁にいくのだろうから、婚約者について聞く。婚約者は一つ格上の侯爵家の嫡男で同い年の『ランティス=ファティマ』。
何でも、この国は『シェルセラ王国』と言って、元は海洋貿易の中継地点として栄えた港湾都市だったらしいが、数百年前に、独立国家として建国されたらしい。
ファティマ侯爵家は、建国当時から続き王家の血をも継ぐ、伝統と格式のある由緒正しい家柄で、婚家として申し分ない。
ランティスとの婚約は、お互いが三歳の頃に、両家によって取り決められたもの。
そもそも。父親同士が親友であり、母親同士が従姉妹と言う、家族ぐるみの付き合いだったから、らしい。
母達は先王の王弟達の娘であるそうだ。つまり、ファティマ侯爵家だけでなく、セレスティア伯爵家も、共に王家の血を継いでいる、と言うことだ。
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