さしあたって、することは?

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 となれば、家格的にも問題ない。伯爵家なら、公爵家に嫁ぐことも出来るが、ティアラ自身『中堅貴族』を望んだのだし、ティアラの両親も親バカだが、善良で野心を持つような人物ではなかった。  -元より『愛してくれる両親』なのだから-  親バカな両親と、妹思いの兄がいる。前世の施設でも、歳上は全員が兄姉で・歳下は全員が弟妹だったけど。  血の繋がった家族がいるのは、やっぱり嬉しかった。このリーネも、先々代の伯爵家当主の頃から仕える一族の出であるらしく、歳の離れた姉のような存在と言ってもいいようだ。  ティアラの心が『ほわり』っと暖かくなり、何故だか泣きたくなった。目頭と目の奥が熱くなったのだ。  血の繋がりこそなかったものの、施設のみんなは、家族だったけれど…………。〝愛してくれる血族がいる〟と言うだけが、これほどまでに嬉しいことだったのか。  〝遠くの家族より、近くの他人〟と言うけれど、今は家族が遠くにいるわけではない、ぶっちゃけ同じ屋敷に住んでいるのだから。  打算や駆け引き、損得関係なく、無条件で愛し・慈しめるのは血族に他ならない。  これから。色々な人と出逢い、色々な経験をするのだとしても。産まれて初めて、そう言う感情を抱くのは、やはり血族で………。
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