さしあたって、することは?

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 ティアラはリーネを歳の離れた姉のように慕い・懐いていたし、リーネもティアラを慈しみ・可愛がってくれている。  けれど、貴族の令息・令嬢には専属の侍従・侍女が就くのが慣例である。それは同年齢、とまではゆかずとも、歳の近い者………そして、出来れば格下の貴族の子が望ましい。  実際。下位貴族の次男・次女以降は『行儀見習い』と言う名目で、格上の貴族家に使用人として仕えることは多い。  その貴族家での評価が高ければ、それは一種のステータスになるし、『何処かの格上貴族と縁付けば』と目論むこともある。  つまり。玉の輿や逆玉の輿を狙う、と言う些かな場合が一般的でもある。事実、リーネの実家は男爵家である。  しかし。リーネは三女で、姉しかいないが玉の輿を狙っていたわけでなく、生きて行くための手段、として侍女になった。  例え、良縁に恵まれずとも。そのまま、侍女として生きて行くつもりであるらしい。  リーネ自身の考えとしては、良い相手がいれば、平民相手でも嫁ぐ気もあるそうだ。比較的自由な三女だから許されることだろうが………。  リーネの実家の男爵家としては結婚しようとすまいと、実家に戻ってこなければ良いのだろう。  言い方は悪いが『口減らしの厄介払い』に近いのだった。目論見としては、口減らしも出来て、行儀見習いにも出せる、と言う一石二鳥だったのだろうけれども。  三女として、ほぼ放任的に育ってきたリーネとしては、実家に未練はなかったし、セレスティア伯爵家は、使用人の待遇が良かった。扱いも給金にも不満はない。そして、それは使用人達の総意だった。
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