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-私の名前は、一ノ瀬 華宵。今年、大学に入学したばかりの十九歳。
夢見る年頃でもないし、夢見てる暇もない。将来の夢は、堅実な仕事について、平凡で穏やかに暮らしていくことだ。
〝非日常〟に憧れてるワケでもなければ、〝異世界〟とかを信じてるワケでもない。
一番信じてないのは『神様』だ。どんなに信じても、祈っても、縋っても助けてくれなかった神様なんて、信じられるワケがない。
-だって。一番信じてた神様に、助けてくれ
なかったのだから-
一度、裏切った者………例え、神様でも再び信じられるはずがない。そんな、バカが付くような〝お人好し〟は、世の中を独りで生きて行けやしない。
信じれば、バカを見るだけなんだから。例えば。よく『騙される方も悪い』って言うけど、その通りだと思う。
そりゃ、騙す方が悪いだろうが、実際比率的には六:四ぐらい。あ、勿論、騙す方が六ね。
信頼(信用)を得るのは生易しいことじゃないけど、信頼(信用)を失うのは容易い。いっそ、呆気ないくらいなんだから。
私が神様への信仰を失うのに費やした時間は、一瞬だった………それで充分だった。
とは言え。この目の前の自称『女神』は、最初から信じる気など、ミジンコ(微生物)ほどもない。
ぶっちゃけ、見た目は十六、七の美少女だ。絵画や美術品などで見る神々の姿は、一部の例外を除いて、二十代以降だ。
老人の姿で描かれる神も少なくない。まぁ、それは男神に限ったことで、女神は妙齢の女性として描かれる。
っと言うか。神々って〝不老不死〟なんじゃないの?………いや、〝死ぬ〟ことはあるから〝不死〝じゃないのか。
でも、人間と比べると、気の遠くなるような期間〝不老〟なんだよねぇ?
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