〈  ある日のこと  〉

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部屋の中、たくさんの写真が飾られている。  自分で撮ったものが大半を占めている。毎日、一枚ずつ加えられていく。  人物、風景、様々で、角度も撮った時間もそれぞれ違う。  それをずっと凝視したーーその写真の奥にもうひとつの空間が見えはじめる。それが何なのかわからない。  それでも構わず凝視したままにいる。  時には歪んで時にはにじんで霞んで、また時には色鮮やかな光を伴って見える。  それは現実なのか、違う次元に触れただけなのか。  それは不可思議で、奇妙キテレツにうつりすぎて。  だけど、それを見ているだけでなぜか心がワクワクして、浮かれた。    また明日再びこの空間を覗けるのかはわからない、もしかしたら失ってしまうのかも、今だけの限られたものなのかも、ただの夢なのかもーー。  それを考えるだけで、ここから離れられなくなる、どうしても、まだいたくなる、しがみついていたくなる。  どんな素晴らしい宝石が横に転がっていても目移りもしないだろう。  そのくらいに集中してしまう、時間も自分が人間であることも忘れるくらいに。  まだ物語は始まったにすぎないんだろうか? どんなストーリーがこれから繰り返されるのか、それをすぐに知りたくなる。    彼女と出会ったのはそんな時だったーー。    
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