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第一話 河原の中心でウップンを叫ぶ
今年も、むなしく、バレンタインデーが終わった。
★本命チョコ……0個★
★義理チョコ……も、0個★
見事な成績を引っ提げて、家路に着く。
小学校でも、中学校でも、全然モテることもなく、高校こそはと意気込んだ、高一のバレンタインデー。
いつもと変わらず、何事もなく、平穏無事に……、終~~~了~~~!
ー チ~~~ン ー
僕は、いつもの川の土手を歩いていた。ちょうど、こちら側にも、あちら側にも、河川敷には誰もいない様子だった。
この悔しさ・悲しさ、何ともやりきれない気持ちを、思いっきり大声を出して、忘れよう!
僕は、土手を下りて、川縁までやって来た。今日は、皮肉にも、天気のいい、清々しい一日だった。夕暮れ手前の日の光が、川面をキラキラと揺らしていた。
そして、僕は、叫んだ!
「バレンタインなんて、嫌いだーーーッッッ!!! 嫌いだッ! 嫌いだッ! 嫌いだーーーッッッ!!!」
スッとした!
あー、スッとした!
スッとした!
腹の底に溜まったヘドロを、全て吐き出したかのように、ほんっっっとに、スッキリした!
「ハァ~~~ぁあッ! 帰ろッ!」
僕が家に帰ろうと、サッと土手の方を向いたときだった!
「私もーーーッッッ!!! バレンタインなんて、嫌いだーーーッッッ!!! 嫌いだッ! 嫌いだッ! 嫌いだーーーッッッ!!!」
「えッ?!」
誰もいないと思っていた向こう岸から、突然、聞こえて来た!
僕が、振り返って、向こう岸を見ると、土手の上に、自転車を止めた、他校の女子高生がポツンと一人立っていた!
ー 第二話へ、つづく ー
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