君が話しかけてくれるまでチョコレートはあげない

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「秋根さんのチョコ可愛いー!!」  手間暇かけて作った生チョコトリュフは幸いにして友人たちからは評判だ。朝の時間からホクホクの気分である。ビターが好きな君のことを思いながら作ったからトッピングのココアパウダーは無糖。見た目が良いようにいくつかはホワイトチョコレートでコーティングしたりして。慣れない手付きで作ったけれど、現時点での最高傑作である。 「味もほろ苦くて最高だね! え、しかも見た目が一つ一つ違うじゃん!」  親友の三城からもお褒めの言葉をいただいて、思わず顔がニヤけてしまう。三城はそんな私の頬をつねって小さな低い声で聞いてくる。 「……で、青峰にはもう渡したの?」 『まだ。こ、恋には焦らしが要るんだよ』  三城は呆れ顔と苦笑い顔の中間のような顔で私の顔をまじまじと見た。 「また馬鹿なことを」  私だって君に早くチョコを渡したい。だから、君が話しかけて来るのをずっと待っている。  朝、まだ君は私に話しかけに来なかった。勝負は、これから。 .
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