「甘い殺害の契約」

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「お婆さん、苦しくないか?」  彼は優しく語りかける。 「……ええ、苦しくないわ」  ベッドに横たわりながら彼に微笑みを返した。  彼は身動きの取れない私の身体を丁寧に拭いてくれる。 「動きも取れなくて不便だろ? 私にはこのくらいしかしてやれないが」 「とんでもありません。いつも本当にありがとう」  言葉や知識を教えてくれた彼。  どんな時でも傍にいてくれた彼。  孤児たちの支援に協力してくれた彼。  こうして死を待つだけの私のお世話をしてくれる彼。 「お爺さん」 「ん? どうした?」 「今日は少し調子がいいの。外に連れて行ってくれませんか?」
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