みやとさゆりのバレンタイン

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「ただーいまー」 「おかえりー」 ん?? 帰宅したさゆりがエコバッグを肩に掛けていた。 「さゆり、何か作るですか?」 「明日の為に」 「明日……」 2月14日……バレンタインやん。 「バレンタインは、貰う側やろー?」 「貰う側じゃねーわ」 「え!!遂にバレンタインに参戦すんの?」 「てめー、自分が言った事を何で忘れ とるんじゃーー!」 「あたたたた」 笑顔でかるーく頬をつねられた。 「お前が作れつったんやん」 「…………」 三日前に遡る。りっちゃんからの電話でバレンタインの話が出た時に『今年はサクラはバレンタインどーすんのー?』って言われて「多分さゆりがチョコケーキ作るな!な!!」と、予定もないのに傍にいたさゆりに突然持ち掛けたんやった。 「なんの話や!!」と驚くさゆりに「今年はさゆりの手作りが食べたいなー♪」と、軽くおねだり。 その時は返事がなかったから、スルーされたんやとばかり。 「……あーー」 「思い出したか」 「作る気なさそうやったやん?」 「みやの為なら、私は作るよ」 「あまいっっっ!!」 「まだ作ってねーよ」 「違うっ!みやに甘いって話!」 「いつもの事やないか」 「…………」 それもそうか。 「ま。これは飯の後からやるから、先に飯食おーぜ」 「ほーい。あ、お魚焼いたで」 「うん」 「後は昨日さゆりが作ってくれた里芋の煮っ転がしの残り物と味噌汁と、サラダ」 「ん。上等上等」
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