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5:「何でさよなら?」
プルルルル……。
プルルルル……。
スワイプ。
A「ういす」
B「『愛染アキオはツーコールで出た』」
A「怖わっ」
B「……(怖いん?)」
A「やめろやお前」
B「何が」
A「誰がそんなマニアックなネタ分かんねん。そもそもお前、一応新開さんの資料はそこいらへんの一般人は閲覧不可ということでやってはんねんから」
B「え、そうなん!?」
A「せやでお前、あんまチョケたらあかん雰囲気の真面目な資料やねんから、漫才のツカミ感覚でぽんぽん使ことったらホンマに呪われてまうで」
B「噓やん、『米粒に嫌われろ』みたいな?」
A「それは俺が言うた奴や。感覚的には大分前な気ぃするけど実は前回のネタやん。あ、そういうふざけた態度もほんまにあかんから。あの人らマジやから。ホンマのホンマでアレな人らやから」
B「お前もちょっとイジってるやん」
A「イジってへん。やめて。イジってへん。これはほんまに。これはほんまに」
B「……」
A「ほんまにそういうテイでやってはんねんから」
B「テイ言うてもうてるやん! イジってるやん!」
A「イジってへんて。突っ込みの僕がそんな、ボケ担当のあなたを差し置いて何? イジる? やめてやめて、そんなん僕苦手ですさかいに」
B「……それで言うたらな」
A「お、今日も行きますか。にしても相変わらず急やなぁ」
B「今、テイ、て言うたやん」
A「お前もな」
B「うん、俺も言うたな、テイ」
A「うん、テイ、言うたよ、確かに言うてた」
B「な。テイや。言うたテイや」
A「え? 違う違う違う違う。もうお前ははっきりと言うた」
B「うん。言うたな。テイをな。言うたよ。そりゃあ、言うたよ」
A「思う存分言うたな」
B「テイ祭が開催されたわな」
A「フェスティバルがな」
B「……ラ・フェスタがな」
A「おお、小比類巻かほるやな。あの日のままでやな」
B「知らんけど。あとカーニバルらへんも」
A「もうええて長いて、なんやねん『らへん』て、何をひとまとめにする気やねん」
B「思う存分にぃ言うたんやんか」
A「そこにかかってくんねや」
B「そやがな。思う存分言うたテイや」
A「だから違う言うてんねんッ!」
B「何やねん、否定するだけでお前の突っ込み全然入ってけえへん」
A「まだ突っ込んですらない!」
B「『な・ん・だ・っ・て』!?」
A「アカンて! 新開さんはイジったらアカンの!」
B「お前がわけわからんこと言うしやんけえ~。俺めちゃめちゃ身削ってボケてるやんけえ~」
A「勝手に身ぃ削んなや、俺巻き添え食うん嫌やで」
B「身を削ってるテイやんけ~」
A「違うて!お前は一体テイを何やと思てんねん!?」
B「何って……何か、『エイっ☆』みたいなことやろ?」
A「どどどどーゆーこと!?」
B「『エイっ♪』みたいな」
A「分からん分からん分からん分からん、怖い怖い怖い怖い!」
B「JKが好きなDKになかなかノリで行かれへんけど勇気凛々ハニカミ王子で肩ドーンするみたいなアレやろ」
A「あえて分からんように言うなッ!」
B「エヘイ♬」
A「やめろ気色の悪い、何段階も声色を変えてアグレッシブにトライしてくるな」
B「伝えようとする俺の頑張りを認めてくれんと、そこは」
A「頑張る方向が暗黒舞踏やねん、前衛過ぎて何見せられてるか分からんねん」
B「それは土方巽に対する冒涜でしかないねん」
A「……ほなごめん」
B「素直でええコやな。……Aだけにな」
A「じゃかあし」
B 「あ、エイっ!」
A 「遅かったなー、今のは遅いわ」
B「ほな次、俺の頑張りも褒めて?」
A「きしょいがえぐい」
B「褒めろ言うてんのに」
A「お前は頑張ってへんよ、お前はこの夜も遅い時間に電話かけて来て今時珍しく奥ゆかしい女学生の甘酸っぱい青春をただただ意味もなく再現しただけや」
B「……それはそれで頑張ってるやんけ」
A「……」
B「ッスェヘイッ(^^♪」
A「やめろ言うてんねん、オリジナルが過ぎるわ!」
B「それは褒め言葉やんけー」
A「良かったなぁ、ほなお休みぃ」
B「待って待って待って、待って待って待っテイ!」
A「言う思たわー。二回目の待ってらへんでちょっと期待してもーた自分が嫌いになられへんわ」
B「今ので使い方あってた?」
A「全然違う!お前がさっきから言うてるテイは体裁の体や。そういう世間体で、という意味や。外から見たらそういう風に見えてまっけど実際の所はほんま言いますと~、という意味や!」
B「……昔から?」
A「そうや!」
B「昔からそういう使い方してた?」
A「してたよ!何やったら昔の人しか今はもう使ってないんちゃうか、テイとか」
B「今何て言うん」
A「お前が今さっき言うてた、ノリで、とかちゃうか? 知らんけど」
B「えーーー」
A「何に対する驚きやねん」
B「俺そういうのほんま嫌いやねん」
A「そういうのて何」
B「昔と今では使い方違いますー、みたいな」
A「何でやねん、だから一緒や言うてんねん使い方は」
B「でも今はノリでって言うねやろ?」
A「……」
B「軽いノリでやらせてもろてます、いう感じやろ?」
A「それはそれを言う人の動機にもよるやろ」
B「僕の資料もそういう閲覧不可なノリで書かせてもろてます、でも皆さん好きに見てくなはれや? いう」
A「 ――― 五憎、異憎、吐露憎、猥憎、在リ得リテ、散リ敷キ」
B「あかーん!!」
A「お前はいっぺんホンマに、ホンマにいっぺん、内蔵溶けるくらいのお灸を据えてもらうべきやと私は思いました、皆さんどう思わはりますか?」
B「上沼さんやめて! そもそもお灸ですみませんやん!」
A「あんたエエ加減にしいや。言うといたるけどこの新開シリーズのネタは分からん人には全く分からんからな、今日のあんたのボケ、びっくりするぐらい滑り倒す可能性大やで、この恩知らず!」
B「気になる人は『文乃』から全部読んでくれよな!」
A「野沢雅子みたいに言うな」
B「いや田島直弥の方や」
A「誰がわかんねん!アイデンティティから言えや!」
B「……それはァ……」
A「今のは言い過ぎた」
B「俺ほんま腹立ってるから」
A「ごめん、そんなにアイデンティティのファンやった?」
B「昔は塩味のことエンミなんて言うてなかったやん?」
A「何のことッ!?」
B「昔と今では読み方変えてきとんねん」
A「……ああー、ああー、はいはい、言うな、塩味な、言うよ、言う言う」
B「さらっと、いかにも昔からそうでございましたーみたいな顔でスカしてきよんねん」
A「それは、誰が?」
B「何や、テレビでよ、グルメ番組でよ、食レポでよ、言いよるやん、ああー、この塩辛はエンミが効いてますね~」
A「誰やそのへったクソな食レポする奴、連れて来いそいつ、エンミがどうこう以前に食レポが下手過ぎて悶絶するわ」
B「例えやんけ」
A「あかんねん塩辛なんか最初からがっつり塩効いとんねん、塩辛なんやから。そんなもんにエンミがァ~言うてもうたらお前、このサトウキビは」
B「キビキビしてますね~」
A「違うわ!砂糖が効いてますねえ~や!キビキビしてるサトウキビてなんやねん!」
B「めっちゃゴロええっ!」
A「やかましわ」
B「俺が言うてるのはそういうゴロがいいよねとかそんなんじゃないねん」
A「俺も違うわ!」
B「でもこれマジでそうじゃない? 腹立てへん!? 誰が決めたか知らんけどさあ」
A「まー、まあなァ」
B「せやろ? いつの間にかさらっと誰になんの断りもなしにすり替えとんねん、エンミとやらに。エンミさんに」
A「エンミさんにな」
B「エンミマリさんに」
A「……」
B「エンミ……エミリさんに」
A「……」
B「エンミさんに」
A「エンミさんになぁ」
B「……ほんなもん俺らガキの頃なんか『これシオアジ効いてめっちゃ美味しいー!』言うて貪り食ってたもんな!?」
A「……何をや」
B「マッ、マクドナルドのポテトをや」
A「今マクドて言おう思たけどマックというこの日本を二分、いや席巻する巨大派閥の顔がチラリと過ぎって中立地帯に駆け込んだやろ」
B「やめて!恥ずかしい!」
A「マクドて言え~~~~っ」
B「お兄ちゃんやめたげて!」
A「お前誰やねん」
B「ハッシュドポテ子です!」
A「わははははは!」
B「受けたぁぁぁ、受けたぁぁぁ、どーですか上沼さん僕頑張りましたよね!?」
A「や、でもそう言えば確かにシオアジ言うてたな」
B「せやろがい!あとマツザカギュウもそやろがい!」
A「いやそれは違うやん」
B「なんでッ!?」
A「マスオさんばりに声を裏返すな」
B「なんでなん!? サザエ、急に裏切るのかいっ!?」
A「裏切ってへんしそもそも俺はお前寄りじゃない」
B「サザエ~~~!?」
A「マスオ一旦帰れ」
B「酷い!酷くってよ!」
A「今時珍しく奥ゆかしい女学生やん」
B「いや曽我部青南さんや」
A「まぁじぃで死ねッ!」
B「お前も昔はマツザカグウ言うてたやろ!」
A「グウ言うてもうてるやん興奮しすぎや」
B「牛だけにね!?」
A「……」
B「……何が!?」
A「俺が聞きたいわ!」
B「お前も絶対言うてたね、それはもう覆しようのない事実やね」
A「いや違うやん、『やね』やあらへん、そもそも問題がすり替わってるねん。俺が言うてた言うてないの話やなしに、最初っからもう間違ってたんや」
B「……ああぁ~~」
A「いや、まだ早い。お前はまだ分かってないよ」
B「成程なァ、それはあるなァ」
A「待って、最後まで言わせて。あれは最初からマツサカウシやってん、でもメディアが一回マツザカギュウをスルーしてしもたんや。それが瞬く間に広まってやな、後になって『あの~、実はですね、当方マツサカウシでやらせてもろてます~』言うてきよったんや。このパターンもあるねん」
B「そっちのパターンかー。後出しジャンケンか!」
A「いや違うけどなんかそんな感じや」
B「ほなあれは? マネージャー戦争」
A「何戦争?」
B「マネージャー戦争や」
A「ミネソタの?」
B「やってんの!?」
A「いや知らんけど、何やねん、どこのやねん?」
B「どこのとかとちゃうねん。マネージャーとマネジャーが戦ってるわけやんか、ずっと、今だ勝敗は決まってないやつやん」」
A「それは、知らん!」
B「えええええええ!?」
A「どっちでも、ええ!」
B「えええええええええ!?」
A「エイっ☆って言えや!!!!」
B「もう俺らええようにマスメディアに踊らされてるわけやん」
A「俺らちゃう、お前だけや」
B「ハードラックとダンスっちまってるわけやん」
A「夜叉神の鰐淵な」
B「違う魍魎の武丸や」
A「言うたんは鰐淵やんけ」
B「ハードラックとダンスっちまったんは武丸や」
A「メンドくさ!」
B「そういう所やぞ!今俺が言うてんのは!」
A「そ、そうかぁ~? いや、それで言うとやな、俺が最近見失いがちになるんは新しい表現の方やわ。ネーミングというか」
B「……あああー」
A「早い早い早い、お前俺の話にも興味持てって」
B「所謂ズボンとパンツみたいな話やろ?」
A「……」
B「んな☆」
A「ドラゴンボール次回予告の悟空が言う『見てくれよな』の『んなっ』だけすんな」
B「ツッコミ下手か」
A「何でお前先言うてしまうん?」
B「いや当たる思えへんやんそんなん」
A「でも昔からあるけどな、そこは。パンツもそやし、ジーパンとデニムとか、チョッキとベストとか」
B「マゼンタとマジェスティとかな」
A「赤紫色とヤマハのバイクや。どっからどう引っ張って来たんや」
B「何か似てるやん」
A「何か似てる語感をとりあえず探して来いって俺言うたか? 違うやん。同じものを指してるのに別の名前に変えられるとついていかれへん、言う話やん。最近で言うたら俺あれ受付けへんねん、カトラリー」
B「ああ。カトラリーと……シムラリー」
A「何をッ!?」
B「もっとお前は加藤ラリーを受け入れるべきやわ、流行の音楽シーンにもついていかんとあかんねん」
A「待て待て待て誰や加藤ラリーて、おる前提で話進めんといて。ほいでお前一回最初にシムラリー言うてるやん、カトちゃんケンちゃんで一回行こうとして無理やと見るや一気に加藤ラリーぶちこんで来てるやん!」
B「やめて!恥ずかしい!」
A「お前の中ではカト=加藤茶なん?」
B「やめて!」
A「加藤茶のことカトラリーて呼び始めたらそら頭おかしなった思うわな。そら俺も受付へんわ。シムラリーなんてもっての他やで」
B「そやろ、カトケン世代の俺らとしては」
A「全然世代ちゃうけどな」
B「何でやねん見てたやんけ『カトちゃんケンちゃんごきげんテレビ!』。衝撃やったわ、渡辺徹」
A「カトケンちゃうんかい!」
B「三人で焼肉しよー言うて始まったらよ、渡辺徹、あいつ焼くの待ちきれんで生で食いよってん」
A「何の話してんねん!」
B「ほんでその時のカトラリーとシムラリーの驚いた顔ときたらククク」
A「やめやめやめ無理すんな無理すんな」
B「めっちゃ笑ろたもんオレラリー」
A「もうええって!!」
B「まあ、でも加藤ラリーも捨てがたいけどな。あいつほんま、やる時はやる奴やし、四時五時ぶっ通しでやるし」
A「一時間だけやんけ、あとの二十三時間何してんねん。あ、あれか、R&Bでも歌ってる口か?」
B「いや、K-POP」
A「当たらずも遠からずッ!」
B「あんま舐めんなよ、加藤ラリー。ビジュアル担当なんやで?」
A「歌えやッ!!!」
B「歌うよ歌う歌う、お前が知らんだけやん、めっちゃヒット曲出してんのに」
A「噓やん、何て曲?」
B「バーニングインフェルノ」
A「怖すぎるッ! 燃える地獄!? K-POPで!? お前の言うK-POPは何、怖いポップなん!?」
B「うちらのラリーの何がそんなに気に喰わんねん」
A「うちらのラリー言われても、俺のラリーとそっちのラリーがまず別人や。ラリ違いや」
B「ほなお前んとこのラリーは何を歌ってんねん」
A「刃物や」
B「こっっっわ!!キレッキレやんけお前んとこのラリー!」
A「何でやねん」
B「負けたよ。まさか刃物の歌とはな。ええラリー見つけたもんやな、大事にせえよ、お前のラリー」
A「もうええねんいつまで引っ張んねん。カトラリーは刃物の総称や。ナイフとかフォークとかスプーンのこと最近そうやって呼ぶねん」
B「スプーンて!全然刃物ちゃうやん、全然尖ってないやん!」
A「どこを責めてくんねん。別にスプーン自体は悪ないやろ」
B「まあでも、そうやってな、少しずつ少しずつ、身近なところから世界は変わっていくんやろな、物の名前ひとつとってもそうやわ」
A「……」
B「俺らもいつまでもBとAではおれんのやろな」
A「AとBな」
B「……尾藤バンと、アナルでやって参りましたけども」
A「それはもうお前ひとりや、ケツの穴に人格をもたせようとするな」
B「尾藤バンと……アジサイの花でお送りいたしまたが」
A「意味分からん、儚いし、それはそれで非常に怖い絵面になってる」
B「尾藤バンと」
A「もうええて。愛染アキオとバンビが」
B「イジってるやん!!」
A「愛染アキオと尾藤バンがお送りいたしました『トーク・オア・ダイ』、ひとまず今回で最終回となりました! 全然見てもらえんかったけどありがとうございました!」
B「皆さんのことは一生忘れません!顔も知らんけど!」
A「ほな!皆さんお元気で!」
B「ビスマルク・バインダッハでした!」
A「アーナルデュル・インドリダソンでした!」
B「誰や!?」
A「アイスランドの推理小説家」
B「おおおおおおるんかい!」
A「ツッコミ下手か」
B「最後やからて俺よりボケようとすんな!」
A「そんなもんお前が勝手になんぼでも……
B「……!
A「……、…
B
A
B
A
B
A
B
A
『トーク・オア・ダイ』、了。
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