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その時 お店に入ってきた
女の子と目が合う
あれ?どこかで見たような
「かっちゃん!久しぶり!」
向こうは俺を覚えていた様子で
俺は、必死に頭の中を探った
だけど、どうも誰だかわからない
「かずや君、こないだのライブっていっても
2年も前だった あはは
ごめんなさい
わたし、また聴きたいなー
かずや君のサックス」
たしかに俺はサックス奏者だけど
ん?思い出せない
親しげに話す、この女の子は誰なんだ?
まじまじと女の子を見る
くるくるとよく回る瞳、厚くお化粧されて
光るアイシャドウにピンと上向きになった
睫毛 真っ赤なリップ
赤い色のワンピース
とにかく派手なこんな女の子と友達なら
絶対忘れないはずなのに
にかっ!笑ってごまかした
ライブに来てくれた女の子なんだろう
だから見たことあったのかな
ふと芸能人になった様な気がして
もぞもぞと変に居心地が悪くなった
俺はサックスを吹いている
厳密にいうとバンドマンだ
2年前にバンドは解散して
今はアフロビートをやれる仲間を探してる
バンドマンは貧乏だ
バイトしてバンド バイトしてバンド
音楽漬けの日々を送るには
バイトに行って行ってその間の時間に練習
それとライブ
ライブも売り上げなんて
ほぼない
音楽で食べて行くには
突出したものがないとな
なんて考える
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