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鈴は貂蝉の妹分であり、姉貴分の身の回りの世話をしながら歌や舞を習っていた。
この度、策略により貂蝉と共に董卓の奥御殿へと参ったが、日に日に暗くなっていく姉の姿に心を痛めている。
深く長いため息をつく貂蝉に遠慮がちに言う。
「お姉様、体調が優れないのですか? 今日はもうお休みになって下さい」
「大丈夫よ。それに今日は舞を披露しないといけないの」
「董卓にですか?」
鈴が問えば、貂蝉は頬をほんのりと染めて頷く。
その朱に気がつかないふりをして鈴は頷き返したが、その胸中は切なさで一杯であった。
「私は董卓の元に参ります。お前は何か菓子でも買っておいで」
渡されたお小遣いを大切に懐へとしまい、鈴は遣いに出掛ける。
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