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「くらえ、バケモノ!」
私の放ったムチは鋭く風を切ってバケモノの胸の中心を正確に攻撃した。そのままムチはバケモノの胸の中へ入り込んで“愛の結晶”を絡め取って私の手の中へ帰ってくる。それから素早く愛の結晶を専用カプセルに閉じ込める。間違っても触れないように細心の注意を払ってカプセルを扱わなくちゃいけなかった。
私が攻撃をしたバケモノはもう既に人間の姿に戻っていて自分が何をしていたのか分からないようで、私と目が合うと、私の服装に困惑したみたいに首を捻ってそそくさとその場から去って行った。心の中で舌を出して私はムチを丁寧に腰のホルダーに仕舞った。それにしても、この服装はなんとかならないのだろうか?
ピンク色のセーラー服がゆらゆらゆれた。短すぎるスカートはあと少しで下着が見えてしまいそう。もちろん住んでいる周辺にそんな制服の学校はないわけで。私にこの服を支給してくれた“博士”の完全な趣味なわけで。まあ、仕方ないよね。選ばれた人間だし。
なんて欺瞞なのかな。そう思いながら“博士”にスマホで連絡を取る。電話を入れるとすぐに繋がった。いつも通りの飄々とした声で私の名前を呼んだ。
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