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“バケモノ退治、手伝ってあげるよ。今から渡す名簿に乗ってる人に連絡してラボまで招待してネ☆”
そんな軽い調子。イタズラだと最初は政府も無視していたみたいだったけれど、バケモノ達は増えるばかり。藁にも縋る思いで政府はその博士に連絡を取り合った。その直後に作られたのが“バケモノ退治令”だ。内容は至ってシンプル、バケモノ退治の通達が来たら背かずに“ラボに向かう”こと。
ラボといっても通達の中に書かれている住所は怪しげな森でも、人が踏み入れない廃墟でもない。都内のどこにでもありそうなビル街の中に埋もれている一室。
貸しテナント?っていうのだろうか。そこにはパソコンが一台だけ。必ず一人で入るようにと看板の文字に促されて一人で入ると映像が勝手に再生された。博士と名乗る人の話を何分か聞くと、また出て行かされる。話の内容はバケモノ退治に協力してくれとのこと。それからいくつかの注意事項。
出口には“制服”が落ちていた。きっちりとたたまれた校章のないコスプレじみたそれと、ムチ。よくよく調べてみれば人によってバケモノ退治の武器、制服は異なるみたいだ。
そして現在に至る。私は博士からもらったメッセージ通りの場所に行って、そこに暴れているバケモノを退治する。私の振るうムチは勝手にバケモノの胸をえぐって博士の求める“愛の結晶”を取り上げてくれる。なんと簡単! 五分もかからない仕事なのに、私のネットバンクの口座にはみるみるお金が貯まっていった。報酬金、こんなにもらってもいいのかなぁ。
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