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「どう言う意味です?」
「深い意味はありませんよ」
意味はあった。自分は、彼を好きな女性たちと同じではないと言いたかった。彼の輝かしい実績の1つになるつもりはない。
「君はそういうタイプだと思っただけだ」
箸を置き、酒に口をつける。今日は飲み過ぎているかもしれない。それが、この男に振り回されてばかりいることに対する怒りからなのか、別の理由なのか。考えは纏まらない。
「さっきの言葉を訂正するべきですね」
篠崎の口数が減っている事に気付かなかった。覗き込んでくるような視線がなくなっていた事にも。
「私は……篠崎君、君のことが嫌いです」
この言葉を言えば、傷ついた顔をされることは分かっていた。それで、彼の”暇つぶし”から逃れられると思った。
「やっと本当のことを言いましたね」
「え?」
「でも俺は、俺が呼ばせた名前でも欲しいんですよ。あなたの物なら、なんだってね」
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