-3-

2/2
前へ
/20ページ
次へ
問い掛けるとクスリと笑われる。どちらかと言えば、その挙動にこそ腹が立つのだが。 篠崎はデスクに軽く腰掛け、長い脚を組んだ。蛍光灯の光が遮られ、机に影が落ちる。 「田嶋さん、俺のこと嫌いでしょう」 「軽率な態度は気に入りませんね」 「俺のどこが軽率なんです?」 一瞬、他人の短所を指摘する、という行為を躊躇う。篠崎を横目に見ると、またヘラリと笑われる。それは、多少挑戦的な色を含んだ笑みだ。 「遠慮しなくていいんですよ?俺が訊いてるんだから」 「そうですね……他人の仕事机に、平気で尻を乗せるところとか」 「ははっ、ホント本音の言えない人ですね。まぁいいや。飲みに行きましょう」 「嫌です」 「傷付いた後輩を慰めて下さいよ」 「傷付いてるようには見えない」 「来てくれないと、言いふらしちゃいますよ?あのコト」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加