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問い掛けるとクスリと笑われる。どちらかと言えば、その挙動にこそ腹が立つのだが。
篠崎はデスクに軽く腰掛け、長い脚を組んだ。蛍光灯の光が遮られ、机に影が落ちる。
「田嶋さん、俺のこと嫌いでしょう」
「軽率な態度は気に入りませんね」
「俺のどこが軽率なんです?」
一瞬、他人の短所を指摘する、という行為を躊躇う。篠崎を横目に見ると、またヘラリと笑われる。それは、多少挑戦的な色を含んだ笑みだ。
「遠慮しなくていいんですよ?俺が訊いてるんだから」
「そうですね……他人の仕事机に、平気で尻を乗せるところとか」
「ははっ、ホント本音の言えない人ですね。まぁいいや。飲みに行きましょう」
「嫌です」
「傷付いた後輩を慰めて下さいよ」
「傷付いてるようには見えない」
「来てくれないと、言いふらしちゃいますよ?あのコト」
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