1人が本棚に入れています
本棚に追加
「直美!お前が好きだ!」
すると、向こうの夏山から叫び声が返って来た。
「直美!お前が好きだ!」
健一は山彦だとばかり思い、もう一度叫んでみた。
「直美!お前が好きだ!」
しかし、今度は叫び声が返ってこなくて重なり合うように聞こえた。
これはどういうことだと思った健一は、また叫んでみた。
「直美!お前が好きだ!」
すると、またもや叫び声が重なり合うように聞こえた。
向こうから同じことを叫ぶ奴がいる。
そう勘付いた健一は、向こうの夏山の方へ下りて行くと、同じく下りて来る者を谷合まで来た時に認めた。
隆だ!
親友でありクラスメート。その彼が自分と同じく直美に恋をしているのだと健一は分かると、僕らの間にシンクロニシティが起きたのだと思った。
隆もそう思った。彼も健一に気づいていたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!