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大自然の神々
クルガン様の大地に辿りついた私たち。
クルガン様は、全ての事情を既に理解していた。
「なるほど。お前たちは。ただこの世に生き、その生を全うしたいだけ、ということじゃな。その姿は至って自然のもの。その生き方、わしは認めよう。じゃが、どうやらこの世界はそれを望まぬ方向に動いているようじゃ。お前たちが、どうしても生き延びたいというのなら。わしは、お前たちに力を授けてやろう。
ただし、お前たちがただその生を全うする為だけの力じゃ。それ以上のことにその力を使うでないぞ」
黙って頷き、その言葉を理解する私たち。
「バケモノが、お前たちの生を邪魔するのならば。そしてお前たちが、この世界の為と思うのならば。お前たちの意思で、自らそのバケモノたちに立ち向かうがよい」
私には、クルガン様のその言葉の意味が分からなかった。
「立ち向かう? なぜ、そのような……。私たちは、私たちです。そして、この世界は私たちのものではありません……」
「ラミィよ。お前は素直な子じゃのう。そうじゃ。お前たちは、お前たち。そしてこの世界は誰のものでもない。だが、おかしいものでな。その至極当然である均衡を破ろうとするものがおる。それに疑問を思ったお前たちは、大自然の神々に頼んだじゃろう。その意思を汲み取った神々は、バケモノたちに殺された。何物にも左右されぬこの世界そのものであった、神々が、じゃ。今度はお前たちがそれに応える番じゃ」
「……わかりました」
「大自然の子どもたちよ。お前たちにこの世界を成す四つの聖なる力を授けよう。火の神、水の神、風の神、大地の神として、この世界そのものとなるがよい」
私は、ヴァルカン様の遺志を継ぎ火の神となった。弟のピルエは、水トカゲのケルンに託された水の精霊結晶を受け継ぎ、水の神となった。龍の子サンドラは風の神に、岩ネズミのコブナンは大地の神となった。
神と呼ばれる存在になったものの、私はあのバケモノたちが怖い。この世界でただ生きること。それだけではない何かを望む、あのバケモノたち。
おそらく、あのバケモノと私たちは、共に暮らすことはできない。
大いなる自然の力を与えられ、この世界そのものとなった私たちは、これからいったいどうすればいいのだろうか。
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