聖なる湖畔

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聖なる湖畔

 行動範囲を拡大していくバケモノを恐れた森の仲間たちは、住み慣れた森を離れ、北にある聖なる湖畔にまで逃げていった。  聖なる湖畔には、水の神ピュトークル様がいる。  偉大な蛇の精霊であるピュトークル様。長い眠りから目覚めたピュトークル様は、聖なる湖畔にバケモノを寄せ付けぬよう水の精霊たちを呼び寄せた。  私たちは、聖霊である水トカゲの子、ケルンと仲良くなった。特にピルエは、ケルンと親友のようになった。湖畔での私たちの暮らしは平和だった。美しい湖の恩恵に森の仲間たちも幸せそうだった。  しかし、その幸せも長くは続かなかった。物凄い数のバケモノたちが、湖畔に押し寄せてきたのだ。  ピュトークル様は太古から長きに渡り、バケモノたちと接してきた。そして、その恐ろしさを知っている。死を覚悟したピュトークル様は、私とピルエ、そして水の神の意志である精霊結晶を持つケルンに、ここから逃げ延びて大地の巨神ダイモス様の所に行くように言い渡した。  水トカゲの子ケルンは、ピュトークル様と共に残ることを決断し、水の精霊結晶をピルエに託した。  聖なる湖畔を守るため、ピュトークル様と水の聖霊たちは、バケモノたちに立ち向かう。  襲い来るバケモノの群れをかいくぐり、私とピルエは、聖なる湖畔から流れ落ちる滝に飛び込んだ。そして、延々と川を流され、海へと逃げ延びた。
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