大地と天空の怒り

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大地と天空の怒り

 海に流された私と弟のピルエは、巨神ダイモス様の住む、岩石の島に辿りついた。  一つ目の巨神ダイモス様。その姿は天にも届く程の巨大さで、小さな私たちが見えているのか不安になるほどだ。岩石の島には、バケモノたちの所業の噂を聞き付けた、雷神ガイガー様も居た。  私とピルエは、ダイモス様とガイガー様に助けを求めた。  水の神ピュートークル様の死を知った雷神ガイガー様は、怒り狂った。  天空高く駆け上り、大気のエネルギーを吸収すると、バケモノたちの巣食う地上目掛けて舞い降りる。そして、光り輝く神の(いかづち)を振り下ろす。  バケモノたちの目に余る行動に、巨神ダイモス様も立ち上がった。赤の巨神ローザ様と青の巨神ブルーノ様と共に、バケモノの巣の中心に向かう。バケモノの王を捕らえる為だ。  ダイモス様率いる大地の巨神たちが、奇妙な形のバケモノの巣を次々と破壊していく。  私は、雷神ガイガー様の娘、龍の子サンドラの背に乗り、上空からその様子を伺う。サンドラの背には、ピルエと、岩ネズミの子、コブナンも乗っている。  巨神ダイモス様に向かって、黒い卵のような物体が飛んできた。飛んできた黒い卵は、ダイモス様の目の前で、火の粉を飛ばして弾けた。巨大な音と噴煙が立ち上り、ダイモス様の腕が……!!  その場に倒れるダイモス様。近くにいたローザ様が、ダイモス様を支える。そこに、バケモノたちが、また黒い卵のようなものを……。激しい音、炎と噴煙。ローザ様の体がバラバラに弾け飛ぶ。ブルーノ様にも、無数のバケモノたちが群がっていく。倒れるブルーノ様……。  「ママ!!」  私たちを乗せた、龍の子サンドラが叫ぶ。  その声に呼応するかのように、雷神ガイガー様が、物凄い勢いで天空より舞い降りた。  その体からは、今まで見たことない程の膨大な大気のエネルギーの光。大気を震わせ、バチバチとあたりが光り輝く。  目をつぶり耳をふさぐ私たち。神の(いかづち)を落とすガイガー様の叫び。  と、同時にサンドラが叫ぶ。  「ママァァ!!!!」  その声に、目を見開いた私たち。飛び込んだ光景に、目を疑う……。  ガイガー様の翼に、大きな穴が……。  次の瞬間、鋭く尖った大木が、ガイガー様の体を貫いた……。  「……サンドラ! その子たちを連れて、クルガン様の所に行きなさい!!」  その言葉を最後に、地上に落ちていくガイガー様。  私たちは龍の子サンドラの背に乗り、クルガン様の住む海の向こうの大地へと逃げた。
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