呼び子が三つ鳴ったから

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一つめは一本の白髪でした。 二つめは櫛を通した時の違和感でした。 三つめは鏡に映るわたしの姿でした。 お気に入りだった黒い髪がだんだんと灰色へ近づいていきます。あの人の顎まである髪の毛は、黒くさらさらとしたまま変わりません。わたしがあの人と過ごせる時間はあとどのくらいあるのでしょう。わたしがあの人と過ごした時間はどれほど経ったのでしょう。わたしは知りません。
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