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一方勇者達は……
「よし、そのリョウタさんを一緒に探してみませんか?」
「ん、俺も……リョウタに会いたい。だから、試練をこなしながら……探す。」
「探すつっても何処を探すんだ。」
「そうですよ。勇者さん、そう簡単には見付からないと思います。たとえ、出会ったとしても、彼が何処にいるのかまではわかりません。」
「俺の能力なら……簡単に探し出せるかもしれない。」
「シュリさんはエルフでしたね。お願いできますか?」
「ん、任せろ……。でも……その前に……」
「その前に?」
「お菓子、頂戴。」
「お菓子ですか?はい、どうぞ。」
「おい、今はティータイムじゃねーんだ。さっさと能力を使え。」
「やだ。だって、この能力を使うと……」
「使うとどうなるんですか?」
「お腹が空く。」
……ドスンッ……
アルトとキャッツはその場で転んだ。
「お、おま……」
「ま、確かに能力を使うと空きますね。」
何となくだが、アルトは理解しているようだ。
「勇者、このお菓子優しい味がする。それに、とても懐かしい。」
「喜んでもらえて私も嬉しいです。あ、シュリさん、口元にクリームが付いていますよ。」
「おいおい、何時まで食ってやがる。さっさと能力を使え。」
「やだ。もっと、食べる。」
「シュリ、我が儘言わないでください。気持ちはわかりますが、今は一刻も早くリョウタを見付けないとなりません。」
「勇者、お前も早く能力を使って欲しいのか?」
「そうですね……私はお菓子を食べ終えてからでいいと思いますよ。」
「勇者。好き、好き……大好きだ!」
「うふふっ、シュリさんったら。………。」
勇者は少し悲しそうな表情になっていた。
「勇者、どうした?」
「あ、ううん、大丈夫ですよ。」
「勇者さん、僕には全然大丈夫って顔には見えません。」
「皆さんにはお見通しってことですね。わかりました。今から話しておきたいことを話しますね。」
「話しておきたいこと?」
「私、今はこうして健康な体で過ごせていますが魔王封印するとなると怖いんです。」
「俺や、キャッツ、アルトもいる。それに、今はいないけど皆きっと勇者を守りたいって思っている。だから、心配しないでほしい。」
「シュリさん……うぅ……」
「勇者、大丈夫だ。だから、泣かないで。」
「シュリのいう通りですよ。勇者さん、必ず僕たちが守ります。だから心配しないでください。」
「あ、アルトさん……」
「たく、格好つけやがって。俺も守ってやる。」
「キャッツさん……有難うございます……」
勇者は泣きながら3人にお礼を言いました。
数十分経過した頃
「勇者、もう平気?」
「はい、もう大丈夫ですよ。」
「なら、よかった。じゃ、リョウタがいる場所を探す。」
シュリは能力を使い……
はあぁぁぁぁっ………
「シュリさんが見付けてくれるまで私達は静かに待ちましょうね。」
「そうですね。邪魔したら悪いですし。」
「だな。」
……ぐぅ~~っ……
何処からか腹の音が聞こえ。
「なんだ、この音は?」
「わ、私じゃないですよ。」
「ぼ、僕でもありません。」
「まさか、シュリか?」
「もしかしてシュリ、お腹がすいてるんじゃ。」
「あいつ、さっきかなり食ってただろ。」
「食べていましたけど……やっぱり能力を使うとすぐにすくんですね。」
「大丈夫なのか?あれでよく魔王封印するレイヤーに選ばれたな。」
「シュリにはシュリなりの理由があるのでしょうね。」
「ふふっ、そうでしょうね。」
約1時間が経過したころ……
「見つけた……」
シュリは遂にリョウタを見つけたのである。
「シュリさん、見付かったんですか?」
「うん……見付けた。でも……」
「シュリ、どうしたのです?」
「はやく言いやがれ」
シュリは迷っていた。
リョウタを見つけた場所が危険なかしょだからである。
勇者達を危険な目に会わせたくない。でも、リョウタに会うためには……
シュリは覚悟を決めて今、リョウタがいる場所が危険なところだということを話した。
「まさかとは思ったがそんな危険な場所にいるとはな。」
「だとしたら今すぐに行かないとですね。シュリさん、一緒にリョウタさんがいる場所にいきましょう。」
「勇者……いいのか?あそこは本当に危険なんだ……。それでも?」
「覚悟の上です。それに、どんな危険な試練だって私は乗り越えようと誓ったんです。なのでお願いします、シュリさん。」
「わかった。」
「アルトさんとキャッツさんは此処に残っていてもらえませんか?」
「断る。」
「勇者さんのお願いだとしてもそれは聞けません。」
「どうしてですか?」
「僕達は勇者さん達と一緒に行動したいのです。それに、仲間が危険な場所にいるのだとしたら助けないとなりませんし、今は試練を乗り越えないとなりません。」
「アルトさん……有難うございます。」
「たく、アルトの奴、格好つけやがって。俺もアルトと同意見だ。」
「キャッツさんも、有難うございます。」
勇者、シュリ、アルト、キャッツは試練を乗り越えながらリョウタがいる場所へと向かっていくのだった。
一方、なにも知らないリョウタは……
「おい、いつまでつい来るつもりだ。」
「君、1人だと心細いと思いましてね。」
「よけいなお世話だ。それと俺は仲間と馴れ合うつもりはない。」
「おやおや、君はそうやって自分1人の力でなんとかしようとしているのですね。」
「うるさい。」
「まぁまぁ、そう言わずに此処は協力しあって行動した方が僕はいいと思いますが。君だって本心はそうでしょ。元勇者のリョウタ君。」
「勝手にしろ。」
「えぇ、勝手にさせてもらいます。」
青年の男は元勇者であるリョウタに付いていくことにした。
青年は半信半疑ではあるが記憶がない為、勝手に付いてくることを承諾したのだ。
だが、まだ認めたわけではない。
正体不明である人物とともに行動することに……
リョウタを探しに行動を始めた勇者達は……
「な、どうして!?」
「シュリさん、いったいどうしたんですか?」
「勇者……」
「大丈夫ですよ。何があったのか皆さんに話してください。」
「うん……わかった。今、リョウタの側に魔属がいる。」
「ま、魔属……ですか?だったら早く行かないとですね。」
「いや、それは大丈夫。彼からは感じられない。」
「おい、シュリそれはどう言うことだ。」
キャッツはシュリに問いかけた。
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