ラ・ヴァルス

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遠くで声がする。 『もう、目を開けていいわよ。』  私はゆっくりと目を開ける。 そして、作り物の体で、人がかつて生きていた世界を見た。 灰色の世界・・ 灰色以外に、何もない。 そこで立ち尽くして、随分考えた、 どうすれば、許されるのだろうか。 ・・私は許されたいのか? ・・それとも、生きたいのか・・。 さらにしばらく考えた。 ・・ここには、まずは、植物が必要だ。 生き物がそこに集まって、そして生きていくための植物が。 何年かかってもいい。 それは、成し遂げなければならない私の使命に感じた。 そして、それを必ず守る。 それが、私が人間として出来る最初の一歩に思えた。
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