ラ・ヴァルス

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 カヨちゃんが私に囁く。 「ねぇ、デートの相手って誰だったの?」 思い出せない・・ 「ねぇ、マナが管弦楽で、演奏している楽器は何?」 思い出せない・・ 「あなたのお弁当を作っているあなたの母親って、どんな人なの?」 思い出せない・・ 「・・そもそも、本当にいたの?」 そうなのだろうか・・ 『じゃあ、カヨちゃん、あなたは誰? そして、私は誰なの?』 カヨちゃんは、ゆっくりと私を見て、そして、私を諭すように話を続けた。 『あなたの名前は、マナ。 神聖なものと言う意味でつけられた名前。 いつか、この世に再び人の善い心が宿るようにと、自我に目覚めたあなたにつけられた名前。』
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