ラ・ヴァルス

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今日もいつもの何でもない一日。 お昼ご飯は、お母さんが作ってくれたお弁当だ。卵焼きが絶品のお弁当を食べて、午後からの授業も何となくやり過ごした。 そして、授業後は管弦楽の部活だ。 今やっているのは、モーリスラヴェル作曲のラ・ヴァルス。  ラ・ヴァルスは、フランス語でワルツを意味する言葉だ。 しかし、この曲は単なるワルツではない。  世界を巻き込んだ大戦中に、絶望にうちひしがれた心で空を見上げると、そこには分厚い曇り空しかなかったが、やがて雲が開けて楽しかったあの頃の舞踏会が展開される。 その華やかな舞踏会のリズムは、心を軽やかに踊らせたままで、ずっとこれが続くかと思わせるが、その華やかさとは裏腹に徐々に音楽は乱れはじめ、収集がつかなくなったところで、これは現実ではなかった。 と言わんばかりに、僅か二小節で無理矢理終止符となる。 と言うオチの付いた曲だ でも、私はこの曲が好きだ。 だって、深い悲しみのなかにも、希望がある曲だから。
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