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ぼくが前々から恐れていたこと、会社でも金縛り以上のこと、つまりは憑かれてしまわないかと内心恐れていたこと、それが現実になった。
その時、ぼくの異変に気付いた先輩が咄嗟に差し伸べた手によって、固い床に頭を豪打するという事態は避けられたものの、打ち付けた肩からじわじわと痛みが広がっていった。
気が済むまで泣いていろ、人手を減らしやがって反省していろ、そう言わんばか薄暗い会議室に一人残されたぼくは、この痛みが、
情けないこと。
次々と溢れてくる涙が、止まることを知らないこの涙は、
誰のものなのだろう。
回らぬ頭で考えてはみたものの、その問いの答えを、ぼくは少しも知りたいとは思わなかった。
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