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もう、だいぶ前のことになるのだろうか、就職氷河期と世間で騒がれていたのは。
世間的には、過去のことになったのだろう。
今は、売り手市場に買い手市場なんて、その単語に踊らされて。
結局のところ、肝心なものは、そういう世の中の動向なんてものではなかったのだろうとも思う。
指を折って数える。六本の指を折り曲げる。
六年前のことになる。六年間を、小学生の六年間に置き換えれば一番分かりやすいだろう。
自分が、どれだけの月日を無駄にしたのか。
無駄にしてしまったのは、誰でもない。誰のせいでもない。自分であるということを、ぼくは十分に分かっている。
そう理解はしていても、上手くは割り切れない。
それは周囲の同年代の奴らを見て、世間を見て、比較できるものはいくらでもある。
だから、人間、そう簡単に自身の現状を、これで良いのだと容易く頷くことができる奴は、きっと恵まれていると思ってしまうのだろう。
少し前は誰かに話したかった。
話して、聞いてもらって、理解してほしかったのかもしれない。
しかし、話せば嫌でも思い出すのだ。記憶は、鮮明に蘇ってしまう。
ならば、どうすれば良いのか。
捨ててしまえば良い。
忘れることができないのならば、ゴミを丸めて捨てるようにどこかへ適当に捨てれば良かった。
それで、ぼくにとって重要なものまで失うことになったとしても、おそらくそれは少なくとも今のぼくにとっては不要なものなのだろうから。
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