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「ーー将来性が見えなかったので、辞めました」
次の会社で出会った年下の女性は、接客業で培った笑みを存分に浮かべて言った。
同じ会社を辞めて、ここにきたなんて。運命のような、運命のような。
あの菓子を今でも食べられる?
辞めたこと後悔してない?
ええ、だって、皆辞めて逝ったもの。私は高卒だから給料だってもう上がらなかったもの。店長までにはなったけれども、所詮はそこまで。もう見限るには十分過ぎるほどでしょう。って。
そうか、それだけのことだったのか。
数年経って、あの会社は自己破産した。
地元の新聞、ニュースで連日のように報道された。
僕の十年日記は、幕を閉じる。
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