リスタート

23/23
前へ
/23ページ
次へ
「ーー将来性が見えなかったので、辞めました」  次の会社で出会った年下の女性は、接客業で培った笑みを存分に浮かべて言った。  同じ会社を辞めて、ここにきたなんて。運命のような、運命のような。  あの菓子を今でも食べられる?  辞めたこと後悔してない?  ええ、だって、皆辞めて逝ったもの。私は高卒だから給料だってもう上がらなかったもの。店長までにはなったけれども、所詮はそこまで。もう見限るには十分過ぎるほどでしょう。って。  そうか、それだけのことだったのか。  数年経って、あの会社は自己破産した。  地元の新聞、ニュースで連日のように報道された。  僕の十年日記は、幕を閉じる。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加