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十代の頃は、生きている人とそうではないものの境が曖昧になり戸惑ったことや、背後に感じる気配に怯えることもあった。
道の片隅に転がる骸骨、生首に、息をのんだこともあった。
当時のぼくに、金縛りは、ある種の日常のようなものだった。
しかし、歳を重ねる内に、ぼくにも変化が訪れた。
大人になると見えなくなる、という話を耳にしたことがあった。
それが全員に該当する訳ではないとは思うが、ぼくも、きっと、おそらく、そうなる一人だったのだと思っていた。
しかし、火ノ玉などの言葉を交わした何かの姿が、徐々に見えなくなっていくこと。
それは不要でしかないこの体質を失うかもしれないという恐怖を抱いてしまった。
厄介だ、こんなものは要らないと思っても、ぼく自身を否定せずに今までを歩んでこられたこと。
それは自分とは異なる存在でありながら、無二の友人であった彼らがいたからだって。ぼくは知っていた。
彼らが、側にいてくれたからだ。
高校時代、帰り道。あのきれいな炎で、街灯のひとつもない夜道を明るく照らしてくれたこと。忘れられるわけがない。
見えなくなるのは嫌だと、会えなくなるのは嫌だと、いつも美しい光を放つ彼らを見ながら、きっといつも矛盾だろうと理解しつもも、確かに願っていた。
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