『受け継ぐもの』編

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 すると、あたりの木々を揺らしていた風が一気に強くなる。ろうそくの炎は勢いを増して揺れていた。 「すごい風」  夏樹が思わず口にする。 「あの時と一緒ね。栄一郎、返事くれたわね」  由美子もつぶやく。ふと気が付けば、もとの静寂に戻っていた。だが、そよ風の中に、誰かの笑い声が聞こえた気がした。桜のつぼみは、開きそうだ。
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