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「でもね、夏樹」
「ん?」
目を閉じ合掌しながら由美子が声をかける。
「絶対に、安全に飛ぶのよ。それだけは、何があっても忘れないでね」
「うん」
「パパ、夏樹が飛ぶからね。絶対に、安全に飛べるように、見守っててよ」
「・・・ってお母さん、まだ選考始まってすらないから、まだどうなるか分からないよ?」
「それはそうだけど、あなた、仮に日東航空の選考がもしだめだったとして、それでハイ別の仕事しますとはならないでしょ?」
「そんな今からだめだった場合のことなんて・・・」
「航空大学校でも、自費でも、食らいつくんじゃない?」
「・・・それは、そうかも」
「じゃあ、絶対にあなたは飛ぶことになるんだから、遅いよりは早いくらいでいいの。こういうお願いは」
「そういうもの?」
「そういうものよ。ね、パパ。夏樹がちゃんと飛べるように、ね」
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