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栗林は、妹と同じ男に抱かれて、相手から浅井がきっかけで男を買うようになったと聞いたのだろう。そして、浅井が売春を斡旋しているという噂を聞き、栗林は我慢ができなくなった。
「栗林だけではない。この街、全体が、もう二度と悲劇を発生させたくないと願っていた……」
だから、重機のような不思議な物体が、意味もなく稼働していても通報されなかった。この街、この土地の人間は全て、共犯者に近いのだろう。
そう思ってこの街を見ると、空も道も海も、全てが慟哭しているように感じる。
「ん?俺の携帯電話も慟哭している?」
ずっと鳴り続けている携帯電話を出すと、内薗から百を超える着信履歴があった。それでも無視していると、俺の前に黒塗の高級車が止まっていた。
高級車のドアが開くと、何かが飛び出してきて俺に飛びついたが、そのせいで俺は欄干から落ちていた。
「夏目!!!!どこに行ったの?」
内薗は、自分が突き飛ばして落としておいて、慌てているのだろうか。
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