226人が本棚に入れています
本棚に追加
内薗がそっと近寄ってきて、俺の手を握っていた。内薗も俺の癖を見抜いていて、興味があると、その場から動かない性質を見抜いている。
「意識というのは、脳にあると思っていたけど……この海水を突き止めれば、どこに在ったのか分かるのか?」
「意識ではなく、魂の存在だろう。魂が何処にあるのか?そもそも、魂などというものが存在するのか?哲学と生物学の融合みたいなものだな……」
だが、内薗は海水にクラゲを入れてみて、生存できるのか試していた。採取した海水にはプランクトンは生息していなかったので、酸素とエサを追加して、水槽で飼っているという。
「クラゲが、時々、人の顔になってホラーだよ」
内薗は真面目に観察しているが、よくクラゲを思いついたものだ。俺は海水だけでもホラーなので、それ以上の事はしたくなかった。だがクラゲは、他の研究所から視察が来ていて、盗まれそうにもなったらしい。
最初のコメントを投稿しよう!