第七章 海水と灰 ニ

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「樹来々、重低音の相殺周波数を教えて!!」 『夏目ちゃんの周囲の周波数を測定、チビ1を使用し相殺します!』  チビ1から相殺周波数が出たようだが、これは鍾乳洞の中まで届くのだろうか。周波数は目に見えないので、効き目が分からないが、鍾乳洞の入口付近で、鳥が岩に止まり消えていた。 「…………。樹来々、この効き目は周囲何メートル?」 『三メートルほどです』  俺は脱力すると、鍾乳洞の中に走り込もうとした。すると、樹来々が再び計算を始め、チビ1を岩に差し込めば、地面を通して鍾乳洞の中まで相殺できると告げてきた。  俺がチビ1を岩に差し込むと、静かだが振動音が響いていた。 「樹来々、鍾乳洞の入口から、どの程度まで行ってもいい?」 『五百メートルほどです。樹来々は、重低音の本体の制御に入ってみます』
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