第七章 海水と灰 ニ

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「菊池の冷たくなった体を、地底湖に沈めました……俺はこれから一生、これを悔やんで生きようと思いました……だから、月命日にはここに来て、花を捧げた……」  さらに橋本は、同じように汚れてしまったから、もうまともな結婚は出来ないと思い込んでいる当時の被害者を、自分の方法でしかないが救済していった。 「俺も汚れている。だから、気持ちが分かるのですよ……でも、だから相手の過ちを許せる面もあるでしょう。共に笑えなくても、共に泣ける……」  そう思って生きていた時に、愛彩を見つけてしまったらしい。橋本は一目見た瞬間に、愛彩が菊池の妹なのだと気付いた。そして、愛彩が真野と付き合っていると知り、事情も察した。 「真実を言わなくてはと焦っていましたが、どうやっても、信じて貰えないような気がしていました……」 「姉さんは自殺なの?そうなの……」  愛彩は目を覚ましていて、橋本の話を聞いていたらしい。
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