第七章 海水と灰 ニ

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 愛彩は、真野から話を聞き、菊池と橋本は恋仲だったと知っていたという。だから、愛彩は姉を殺したのは橋本だと、思い込んでいた。  人間は、絶対悪ではない場合が多く、許せない事件でも、救いというものはある。愛彩は睡眠薬を入手し、ここで橋本を凍死させようとしていた。だが橋本を殺したら、自分も殺人者になってしまうので、一緒に飲んで、心中でもいいと考えていたらしい。 「姉さんは、この鍾乳洞で眠っているの……やっと、見つけた……」  橋本はいつものように、花を持って鍾乳洞に来た。すると、後を追って愛彩が来たので、覚悟を決めた。そこで愛彩から、コーヒーを出されたのだが、手が震えてしまい全部こぼしてしまったという。  愛彩は話している途中で眠りにおち、橋本は愛彩が何をしようとしたのか意味を理解した。凍死させたくないので、愛彩を外に出して車に乗せなくてはと抱えた瞬間、後ろから頭を強打され、逃げようとすると、更に背中に痛みを感じ意識を失った。 「スタンガンか……」  背中に火傷のような跡が残っていた。
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