第七章 海水と灰 ニ

9/17
前へ
/424ページ
次へ
「こんな場所で何だけど、君達は金儲けの為に悪事をしていたのだよね?」 「そういう事になっていますが、実際はやや異なります。金が必要だけど、子供ではどうしょうもできない事はあるでしょう。そういう連中に、少しだけ、手を貸してしまったというのか……」  稼げる相手を紹介してしまったのだ。でも、それはやがて、子供では制御できない事態を生み出していった。そして、互いに秘密を守る事にした。 「俺達は一生をかけて、罪を償う道を選んだ……つもりだった」  少なくとも橋本は、菊池を失った悲しみを忘れないようにしていた。 「でも、浅井は更生して教師になったのに、又、金の為に堕ちていった……伊津見は、親に勧められて留学していた。でも、その留学先で男性と結婚していた」  橋本は大学時代に、伊津見の留学先を訪ねた事があった。すると、伊津見は男性と同棲していた。 「ガタイのいい熊みたいな男性で、ウィルと呼んでいました。伊津見はいつもウィルと一緒にダブルベッドで眠っていて、自分達は夫婦なのだと言っていました。伊津見は親から解放されて、やっと自分が出せたのだと笑っていた……」
/424ページ

最初のコメントを投稿しよう!

226人が本棚に入れています
本棚に追加