第七章 海水と灰 ニ

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 伊津見は、幸せだと言い、毎日愛されているのだと照れていた。毎日、あんなに極太のものを、ガツガツと突っ込まれていたら、壊れそうだと心配していると、それでも愛していて幸せなのだと、惚気られたらしい。 「だけど、そんな生活は長続きできなかった」  伊津見の両親が気付き、連れ戻すと精神病院に入院させたのだ。そこで、入院という監禁生活を強いられ、体を元の男性に戻され、結婚は女性とするものと洗脳された。 「退院後の伊津見は、今の伊津見ですよ」  伊津見は留学していた事も、結婚していた事も隠し、政治家への道を進み始めた。 「人生の汚点にされたパートナーは、泣き寝入りだったの?」 「いえ……どうも、伊津見を追いかけて日本に来て、今もいるとか……」  有名な建築家で、日本の仕事を引き受けて、伊津見を取り戻そうとしていた。 「だから伊津見が消えたと聞いた時、伊津見の親が仕組んだのかと思いました」   伊津見の親は、息子を男と結婚などさせたら、一族の恥だと罵っていた。
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