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「ま、あのお経はBGMとして、ユウくんも一緒に観察しない?」 「観察?」 「そうなんですよー。僕たち集団で昇天するまでの間、この会場の観察をしているのですよー」 ルミの提案にハンダの補足で、ユウは参列する家族へと視線を流す。 正面では焼香の時間となり、次々と参列者が席を立って祭壇へと列を作り始めていた。 「あー、あれ私の親だわ───30過ぎても嫁に行かず脛齧りしてたし、親孝行出来てないんだけどなー。心配事が減ったってことで勘弁してね」 ボソリと呟くルミの神妙な面持ちが白髪混じりの女性に注ぐ。 小さな身体を震わせ、両手を合わせて深々と頭を下げる女性を、ルミは寂しげに眺め、力無く歩く後ろ姿を見送りながら「老けたねー」と呟いてくしゃりと目を潤ませて笑った。 「次は僕の両親ですねー.......ふふふ、親より先に逝くは不孝者といいますが、仕方ないですよねー。だって何時死ぬかなんて誰にも分からない事ですもんねー。もっと、優しくしておけば良かったと思ってしまいますー」 ハンダは祭壇上の自分を睨みつけるように顔を強張らせた男女に両手を合わせて礼をする。 母親は伏せた目から零れた涙を拭いつつ、充血した目の父親に肩を抱かれて席に戻った。 「ウチの両親、成人したら出て行けって僕を家から追い出して新婚気分で暮らしてるんですー。帰るとイチャイチャしまくっていたりするので滅多に帰りませんでしたねー。実家とアパート、300mほどしか離れてなかったんですけどねー」
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