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ユウとハンダはその写真を覗き込み「あー」と納得して見せ、内心(どーでもいい)と顔に書いたが、「どーでもいい。寧ろ、撮ってなかった自分が悪い」とカスガがはっきり毒吐いたことにユウとハンダはすかさず身を引いてルミの背後に並んで控えた。
「はぁ?死ぬつもり無かったんだから、仕方ないでしょ?!」
「それだけ人生適当に過ごしてきたのねー!私なんか日常的に写してたから問題無かったわよ!」
「へぇー!自撮りばっかで寂しい日常だこと!」
「なんですって!」「なに!」
女性2人のバトルは凄まじいと、ユウとハンダは目を丸くして関わらないよう息までも潜めた。
「.....ミ.マセン、スミマセン、スミマセン!すみません!」
突然の悲鳴のような声に女性たちの口喧嘩は止まる。
今まで無言で、存在していなかった5人目の遺影の主が喚いたのだ。
4人の目が一斉に注がれる。
「私が悪いんです!私が居眠りなどしてしまったから.......前日も同じルートを往復していて、慣れもあったんです.......つい、油断してウトウトとしてしまいハンドル操作を誤ったために皆さまが!」
初老にも見える男性が顔を覆い蹲ってワンワンと泣き出した。
そうか、運転手も死んだのか。
並んで葬儀に伏されるとは.......ありか?
誰もが呆気にとられて運転手を見詰め、泣き喚く姿があまりにも憐れで、居た堪れない気分になった。
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