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_____ぁぁぁあああ。
はっ、と目を覚ます。
肩で息をしながら、天井をにらんだ。
首元が冷たい。全身に、汗をかいている。
時々、見てしまう夢だ。あの頃が、一番幸せだったよな、って。
本当は、あの後告白された。クラス委員のあの子とは、なんでもなかったそうだ。あんな積極的だと逆に引いちゃうんだよな、って笑ってた。
卒業まで、平穏に付き合ってた。
あの日、あの春の日までは。
大学生になったら、翼とあれするんだー、ここ行きたいなー、って一人暮らしの準備をしていた。
BGM替わりに着けていたテレビは、今年最初の桜の便りを伝えていた。
当たり前の事が待っているんだと、思ってた。
珍しく、家の固定電話が鳴った。
声の主は、震えていた。
「翼が刺されたの……。」
急いで彼が搬送された病院に向かったけれど、間に合わなかった。
綺麗な死に顔だった。
桜、見に行くって約束したじゃん。
泣きそうになった。でも、泣けなかった。
どうでもいいけど、犯人はいつかの彼女だった。
私も、一緒に刺してくれれば良かったのに。
このまま生きていくか迷った。
でも、何故か。
いや、結局。
私の人生は、どうにか繋がっている。
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