とりますよ

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「三人とも、無事に合格できてよかったわねぇ」  地元の短大生となる遥が隣を歩く桂里奈にそう言った。 「そうだね。一安心だ」  さばさばとした桂里奈は、他県で一人暮らしを始める。  すでに物件は決まっていて、引っ越しの準備も進んでいた。 「ねー、二人とも早く来なよぉ。すっごい良い眺めだよぉ!!」  花楓が二人の方を振り返り、大声で呼びかける。桂里奈は苦笑しながら花楓に向けて手を振った。 「あいつが大学生ってのが一番信じられない」 「花楓ちゃんは……頑張ったわよねぇ」  苦笑いのまま言った桂里奈の言葉に対して、遥も頷いてから返事をした。  花楓もまた、春から他県の大学に通う事が決まっていた。  バラバラの進学先になったのは、それぞれの家庭事情や将来を見据えて、やりたい事を目指した結果だった。 「次はいつ揃うかしらねぇ」 「すぐだよ。ゴールデンウィークにはまた会えるさ」  遥の言葉に桂里奈は頷く。  そして、丁度そこで花楓のいる欄干の傍へと辿り着いた。
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